海外で成功する話ではない 

ときどき聞かれる。
「佐藤さんって、フランスやアフリカを行き来して、結局なにをやっている人なんですか?」

正直に言うと、
もう「これこれ」と一言で言える段階は過ぎてしまった。

10代の頃、
「いつか海外で何かできたらいいな」と、
かなり曖昧な願いを持っていた。

その結果、
1997年に会社を辞めてフランスに渡り、
学生、無職、ワーキングホリデー、就職、結婚、起業と、
気づけば20年以上を海外で過ごすことになった。

これは、
いわゆる「海外で成功した話」ではない。

うまくいったことより、
分からなかったこと、
選び続けるしかなかった時間の方が、
圧倒的に多い。

海外に出ると、
価値観は簡単に揺さぶられる。

国、言葉、制度、常識。
日本では当たり前だったものが、
一つずつ通用しなくなっていく。

そのたびに考えた。
「働くって、なんだろう」
「暮らすって、なんだろう」
「事業って、誰のためのものなんだろう」

フランスから日本へ戻り、
さらにアフリカの現場に立つようになってから、
その問いは、より具体的になった。

電気がない。
通信がない。
それだけで、選択肢が極端に減る現実。

だから、
電気と通信を届ける事業を始めた。
それが TUMIQUI というプロジェクトだ。

でもこれも、
「社会貢献」や「SDGs」という言葉だけで
説明できるものではない。

現場に立つと、
正しさよりも、
続くかどうかの方が、ずっと重要になる。

このサイトに書いているのは、
ノウハウでも、成功談でもない。

国境の向こう側で、
迷い、選び、実装し続けてきた
思考の記録だ。

もしここに、
答えを探しに来たのなら、
きっと何も見つからない。

でも、
問いを抱えたまま進んでいる人なら、
何か一つ、立ち止まるきっかけにはなるかもしれない。